Gemini 2.0 × Pipedreamで作成!十数サイトを自動巡回してLINEに新着だけ届く『AIニュースボット』の作り方

はじめに

Web担当者の方、毎日の情報収集で「時間が溶ける」感覚に陥っていませんか?

朝起きてニュースアプリを開き、X(Twitter)でトレンドを追い、Tech系メディアを巡回する……。気づけば1時間経っているのに、「結局、自社に役立つ情報はどれ?」と聞かれると答えに詰まる。
そんな経験があるかもしれません。

もし、あなたがまだ「手動」で情報収集をしているなら、正直に申し上げて危険です。
情報は増え続けるのに、人間の時間は増えません。このままでは、重要な兆候を見逃し、競合他社に後れを取ることになるでしょう。

今こそ、AIを「話し相手」から「優秀な秘書」に昇格させる時です。

私は今回、Googleの最新AI「Gemini 2.0 Flash」自動化ツール「Pipedream」を組み合わせ、「毎朝、自分がチェックすべき重要ニュースだけがLINEに届く」
そんな楽ができる仕組みを構築しました。

しかも、サーバー代はゼロ。

この記事では、その具体的な構築手順と、実際に運用してわかった「AI活用のポイント」を公開します。

なぜ「有料ツール」だけでは不十分なのか?

「ChatGPTやGemini Advancedを使えばいいのでは?」
そう思われる方もいるかもしれません。
たしかに、有料プランにはGoogle検索機能などがついています。
しかし、これらには決定的な弱点があります。

  1. プッシュ通知が弱い: 自分から聞きに行かないと教えてくれない
  2. 「既読」の概念がない: 昨日見たニュースを今日も出してくる
  3. 細かい制御ができない: 「特定のキーワードが含まれる記事は除外」などの調整が難しい

私が求めていたのは、「寝ていても勝手にスマホに届き、かつ一度読んだ情報は二度と出さない」という徹底的な効率化です。
これを実現するための最適解が、Pipedream(パイプドリーム)というツールでした。

本ボットの「3つのこだわり」

今回作成した「AIニュースボット」には、徹底的に実用性を追求した3つのこだわりがあります。

1. 重複排除の徹底

「このニュース、さっきも見たな…」というノイズは、情報収集において最大の敵です。

本ツールでは、Data Store(簡易データベース)機能を使い、一度LINEに通知した記事のURLをすべて記憶させています。

これにより、「常に新しい情報だけ」が届く環境を実現しました。

2. 圧倒的なコストパフォーマンス

今回、AIモデルにはGamini 2.0 Flashを採用しました。

Gemini 1.5 Proなどを凌駕する処理速度を持ちながら、API利用料は驚くほど安価(現時点では無料枠も強力)です。

また、Pipedreamも個人の範囲なら無料プラン(Free Tier)で十分に運用可能。

つまり、ほぼゼロコストで企業レベルの収集システムが手に入ります。

【ご注意】Pipedreamの無料プランについて

現在、Pipedreamの無料プランは「月間100クレジット」までとなっています。本記事の構成では1回の実行で約10〜12クレジットを消費するため、毎日実行すると10日足らずで上限に達してしまいます。 まずはテストで動作を確認し、本運用では配信頻度を週1〜2回に調整するか、必要な時だけ手動で実行する形での運用をおすすめします。

3. スマホ完結の通知体験

朝8時。通勤電車の中でLINEを開くだけ。

そこには、十数サイトから厳選された「今日読むべき5件」が要約付きで待っています。

PCを開いてブラウザを立ち上げる必要すらありません。

使用するツール・技術スタック

今回の「最強の秘書」を構成するチームメンバー紹介です。

  • Pipedream: 全体の司令塔。サーバーレスでプログラムを動かせる自動化ツールです。
  • Google Gemini 2.0 Flash: 超高速なテキスト解析と日本語要約を担当。
  • Node.js: データのクレンジングや重複チェックなどの細かいロジック記述に使用。
  • LINE Messaging API: 私たちへの最終レポート(通知)を行います。

なぜn8nやMakeではないのか?

自動化ツールといえば、Make(旧Integromat)Zapierが有名ですが、今回はあえて選びませんでした。

理由は「複雑な処理への対応力」と「コスト」です。

Zapierはステップ数が増えるとすぐに課金が必要になります。

また、最近人気のn8nも素晴らしいツールですが、デスクトップ版の配布が終了しており、安定稼働させるにはDocker等で自前サーバーを立てる必要があります。

「AI活用はしたいが、サーバー管理まではしたくない」

そんなWeb担当者の方にとって、クラウド完結でNode.jsが自由に書けるPipedreamこそが、現時点でのベストアンサーなのです。

構築のステップ:自分専用ニュースエージェントの作り方

それでは、実際の構築手順を見ていきましょう。

Step 0: ニュースを取得したいサイトを見つける

まずは「どこから情報を集めるか」です。
ここでもAIを活用しましょう。ChatGPTやGeminiにこう聞いてみてください。

「マーケティング担当者が読むべき、日本のテック系ニュースサイトを10個リストアップして。RSSフィードのURLがあればそれも教えて」

人間が探すよりも、偏りのないリストが一瞬で手に入ります。

Step 1: 巡回リストの作成 (Node.js)

リストアップしたサイトをPipedreamに登録します。
RSSフィードがあるサイトは簡単ですが、ないサイトも多いでしょう。
今回はNode.jsを使って、主要なページのHTMLから直接リンクを取得するスクリプトを組みました。

// Pipedreamでの取得イメージ
const urls = [
      "https://techcrunch.com/category/artificial-intelligence/",
      "https://www.technologyreview.com/",
      ...
];
// サイトを巡回して最新記事リストを取得

Step 2: Geminiによる「目利き」と「要約」

集めた記事がすべて重要とは限りません。ここでGemini 2.0 Flashの出番です。 取得した記事タイトルと冒頭文をAIに渡し、「Web担当者にとって重要か?」を判定させます。

ここで重要なのが、プロンプト(指示書)です。 単に「要約して」と言うだけでは不十分です。

「以下のニュースサイトのテキストデータから、最新の重要ニュースを5件抽出(なるべくAIに関する記事を優先)し、JSON形式で出力してください。その際、英語であれば日本語に訳してください。」

このように具体的に指示することで、後工程で扱いやすいデータが返ってきます。

Step 3: Data Storeによる記憶保持(ここが大事!)

ここが最大の難関であり、こだわりのポイントです。 PipedreamにはData Storesという機能があります。ここに「通知済みURL」を保存します。

  1. 今回取得した記事URLリストを用意
  2. Data StoreにそのURLが存在するか確認
  3. 存在しなければ「新着」として処理リストへ
  4. 通知成功後、Data StoreにURLを書き込み(保存)

このロジックを入れることで、「同じニュースが何度も届く」というストレスから完全に解放されます。

Step 4: LINEへの一括送信

最後に、選ばれしニュースたちをLINEに送ります。 1件ずつ送ると通知が鳴り止まないので、「本日の厳選ニュース」として1通のメッセージにまとめるのがコツです。

LINE Messaging APIを使うには、LINE公式アカウントの登録が必要です。無料プランは月間200通までただで使えますが、すでに使用している方は注意が必要です。

苦労したポイントと解決策

構築中には、いくつかの壁にぶつかりました。これから作る方のためにシェアしておきます。

1. JSONが途切れる問題

Geminiが返すJSONデータが、途中で切れてしまうことがありました。 原因はトークン制限(文字数制限)です。 finishReason: MAX_TOKENS というエラーが出た場合は、一度に渡す記事数を減らすか、出力トークン数の上限緩和設定を行う必要があります。

2. AIの限界を知る

Gemini 2.0は非常に優秀ですが、たまに「存在しないURL」を生成したり、指示を無視することがあります。 「AIは完璧ではない」という前提に立ち、Node.js側で「URLの形式チェック」などの防波堤(バリデーション)を用意しておくことが、安定運用の鍵でした。

運用してみた結果

完成したボットを使い始めて数週間。私の朝は劇的に変わりました。

Before: ベッドの中でスマホを取り出し、SmartNewsを見て、Xを見て、はてなブックマークを見て…気づけば30分経過。頭の中はゴシップ記事と仕事の情報でぐちゃぐちゃ。

After: LINEの通知を1通見るだけ。所要時間3分。 「今日はGoogleの新しいアップデートがあるな」「競合他社の動きがあったな」 必要なことだけを把握して、スッキリした頭で起きれる。

情報の「取りこぼし」がなくなった安心感は、精神衛生上も非常に大きいです。

まとめ:AIを「話し相手」で終わらせないために

「AIを使いこなす」とは、チャット画面で会話することだけではありません。 自分の業務フローの中にAIを組み込み、自分専用の「仕組み」を作ることこそが、これからのWeb担当者に求められるスキルです。

今回はLINEへの通知を紹介しましたが、これをSlackのチームチャンネルに流せば、チーム全体の情報感度を底上げすることも可能です。

まずは無料のPipedreamアカウントを作り、GeminiのAPIキーを取得することから始めてみませんか? その小さな一歩が、あなたの時間を劇的に増やす「最強の投資」になるはずです。

具体的なコードが知りたい方はぜひお問い合わせください!

執筆者

astroboy

Webデザイナー&コーダー。HTML/CSS/JavaScript/Vue.js/WebGL/ECサイトなど手広くWeb制作に従事する。現在は東京で活動中。

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